あなたの支援を必要としています
テレビやニュースで目にする子どもの虐待や貧困の問題。実は熊本にも、生まれた環境で苦しむ子どもたちがいることをご存知ですか?
児童養護施設に入所する子どもたちの入所理由のトップは、「親からの虐待・ネグレクト」。児童虐待に関する相談件数は全国的に過去20年で50倍以上にも膨れ上がり、熊本でも施設入所者の実に7割以上が「虐待・ネグレクト」を理由に施設にやってきます。 熊本市内だけでも、常に200名を超える子どもたちが児童福祉施設で生活しています。熊本市児童相談所の報告によると、2000年から2016年までの児童福祉施設入所者数は年平均76名。私たちの日常の裏側では、熊本市内だけでも毎年80名近くの子どもたちが施設に保護されているのです。
子どもたちが抱える心の傷
児童養護施設というと、「孤児院」のイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、「虐待・ネグレクト」を理由にやってくる子どもたちには親がいます。施設に保護された子どもたちは施設の先生たちに見守られ、普通に塾に通い、お小遣いで好きなものを買ったり、ピアノを習ったりと、一見普通の家庭の子どもたちと変わらない生活を送っているように見えます。
ですが、「親に捨てられた」「見放された」…という心の根底についた傷は簡単に消えるものではありません。
施設の集団生活の中、自分とマンツーマンで向き合ってくれる大人が少ない中で子どもたちがアイデンティティを取り戻すのはとても難しいことです。自信を持てない…自分を大切にできない…人を大切にできない…子どものときに受けた心の傷は、人生の様々なタイミングで子どもたちに大きな影響を与え続けていきます。
自立の難しさ
施設で育つ子どもたちにとって、大きなハードルの一つが「自立」です。里親制度の認知度がまだまだ低い日本では、幼少期から施設で育つ子どもも少なくありません。
そんな中、大学や専門学校に進学する子どもはたった1割程度。ほとんどの子どもは高卒で就職し、18歳になれば法律に従い施設を出なければなりません。「頼れる大人がいない」「お金がない」「学歴や資格がない」「住む家がない」…施設で育つ子どもたちは、心の傷やトラウマに起因する様々な問題を抱えながら、最悪の場合経済的な支援もなければ保証人もいない状態で社会に放り出されるのです。
そんな子どもたちが現代の競争社会を自力で生き抜いていくことがどれだけ困難か、想像に難くありません。頼れる親がいない子どもたちは、帰る場所はありません。初めての社会人生活がうまく行かなかったり、お金の管理がうまくできなかったり、体調を崩したり…結果仕事をなくし、生活が破綻してしまう子どもたちも少なくないのです。
「はじめの一歩」の大切さ
児童養護施設は子どもたちが大人になると同時に「終わる支援」です。施設退所後、子どもたちを継続的に支援していくための機能は今の社会にはありません。だからこそ、子どもたちが社会に出る「はじめの一歩」が重要です。この「はじめの一歩」がうまく行くか行かないか、それが子どもたちのその後の人生に大きな影響を与えることは言うまでもありません。